2014年5月15日発行 第17号
成年後見制度の種類〜後見人だけではありません
成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などで判断能力が不十分になった人が、判断能力が低下したことで不利益を被らないように、家庭裁判所に申立てをして、その方を援助してくれる人を選んでもらう制度ですが、本人の判断能力の程度などにより「後見」「保佐」「補助」の3つに分けられます。
「後見」の対象となるのは、自分の財産を管理したり処分したりすることが全くできない人です。具体的には、重度の知的障害者・精神障害者・認知症の高齢者などで、常に判断能力がなく、自分だけで物事を決定することが難しく、日常的な買い物も1人ではできない人ということになります。
「保佐」の対象となるのは、簡単な契約はできるが、重要な財産(土地や車など高額な物)を管理したり処分したりするには、常に援助が必要な人です。具体的には、知的・精神的障害のある人、認知症がある程度進行している高齢者など、判断能力が著しく不十分で、日常的な買い物くらいは自分でできるが、重要な契約などは無理という人が該当します。
「補助」の対象となるのは、判断能力が不十分ながら自分で契約などができるが、誰かに手伝ってもらったり代わってもらうほうがよいと思われるような人(軽度の知的障害者・精神障害者・初期の認知症状態にある人)などです。
成年後見制度においては、家庭裁判所によって選ばれた本人を支援する人(成年後見人・保佐人・補助人)が、本人の利益を考えながら、本人を代理して契約などをしたり、本人が自分で契約をするときに同意を与えたり、本人が支援する人の同意を得ないでした不利益な契約を後から取り消したりすることによって、本人を保護・支援します。
いずれの制度も、判断能力が不十分となった人たちの人権や利益を守るために用意されたものです。
加藤・柳生法務総合事務所
司法書士 柳生唱一
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