2022年10月15日発行 第242号

インバウンドに期待

 コロナによる自粛で、趣味のひとつである旅行は控えていましたが解禁です。3年ぶりの飛行機で岩手へ飛んで、県内各所を巡ってきました。花巻空港は好きな空港のひとつで、着陸時の田園風景は相変わらずの輝きを見せてくれました。蓄積されていた欲求不満の一部は解消され、次はどこへ行こうかと思いを巡らしているところです。
 盛岡で宿泊した観光ホテルは、やはり客足が戻ってはいないようで、その立派な施設から嘆く声が聞こえてきました。早く客足が戻り、一部の老朽化した設備の更新をして、元気になってもらいたいと思いました。
 日本ホテル協会の統計によれば、加盟のホテルはコロナ下の2年間で、約50年分の純利益に相当する損失を計上したようです。 これを取り戻すには単純計算で50年ほどかかるということで、国全体で応援せねばなりません。
 そして、インバウンドによる応援も必須です。外国人観光客については、先週から様々な規制が撤廃され、ほぼコロナ前のように日本を旅行できるようになったようです。また、歴史的な円安も観光・宿泊産業への追い風になっています。
 しかし、急に観光客が増大すると、ホテルや観光地の受け入れ態勢、人員確保が問題となってくることでしょう。これについては、「日本人よ、もっと働け!」と言いたいです。テレワークで運動不足になっている人、休みが多くて時間を持て余している人、副業でもっと稼ぎたい人など、休日にホテルや観光地で働いたらどうでしょうか?
 私自身も、外国人観光客を相手に仕事をしてみたいと思っています。円安で外国に行きにくくなりましたが、外国人がたくさん来てくれるのです。国内で英語や中国語を使う機会が増えることは、外国語の習得には有難い環境だと思います。 また、外国人旅行者の思考や行動の特異性も興味深く、学ぶところが多々あると思っています。
 外国人観光客は、単に観光・宿泊産業への需要者と考えるのではなく、ますます内向きになっている日本人への目覚まし剤になると思っています。現状打破を願っている人は、インバウンド関連ビジネスに挑戦してみる。これもリスキリングになることでしょう。
CPS総合法務事務所
所長 加藤健治

クレームに対する適切な対応方法は?(その8)

 「クレーム対応の仕方」最終回です。
 今回は,悪質クレーマーに適切に対応できるための体制構築の続きです。職員が心身に支障を生じないよう,社内に予め,クレーム対応体制を構築しておくことが大切です。
 普通の顧客のクレーム対応であっても,精神的な負担は大きいものです。相手が悪質クレーマーとなると,その負担は更に大きくなります。逃れたくなって悪質クレーマーの要求に応じてしまったり,病気になったりするおそれがあります。
 しかし,負担が大きいからと言っても,担当者を途中で変えることは望ましくありません。担当者を変えると,通常,担当者が上役へと上がっていくので,大事な上役の時間を悪質クレーマーのために費やすことになってしまいます。 また,担当者を変えると,悪質クレーマーから,前の担当者に話してあるのに聞いてないのか,たらい回しにされたと言われ,新たな攻撃材料となります。前の担当者がああ言ったこう言った,確認しろ,言った言わないという話がでてきて,その確認作業に余計な時間を費やすことにもなります。(もっとも,場合によっては,担当者を変えることが必要な場合もあります。)
 いつも,職員を大切にしている!と口では言っていても,とても大変なことを,現場担当者だけに任せている会社だとしたら,職員は,本当に大切にされていると感じられません。この職員に会社の売上げアップのため,頑張ろう!と仕事をするのは難しいでしょう。
 そこで,最初から,予め担当者の精神的負担をやわらげるよう,組織としてしっかりとしたバックアップ体制を作っておくことが必要となってきます。
 クレーム対応手続きを定めてクレーム情報を共有することも必要です。クレームを確実に報告させる手続きがないと,上司,経営者に知られないようにしたいと思う従業員は,秘密裏に不当な要求に応じてしまう可能性があります。早く,クレーム処理をすることが大切なのでは無く,上司,経営者と情報を共有し,「公正,公平」をふまえて適切に対応することこそが重要であることを周知,徹底する必要がありますね!次回は,そろそろ話題を変えてお話ししたいと思います。
岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
多治見ききょう法律事務所 弁護士 木下貴子

個人情報について 2

 前回のつづきになりますが、「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律」の成立に伴い、土地の境界立会いの際、お隣の所有者の行方が分からず、登記簿上の住所にも住んでいない、引っ越し先もわからない、戸籍を取り寄せても住所がつながらない時は、境界確定を諦めるか、相当の費用と時間を覚悟して、筆界特定制度または、境界確定訴訟での方法を取らないと解決しなかった案件が、今回の法改正で市役所等から個人情報の提供が期待できると思いました。 そこで、土地の固定資産税を払っている人が土地の所有者と何らかの関係があることが予想されるので、市役所の資産税課に情報の公開をお願いしたのですが、窓口の回答は、「税金を徴収するために私たちは所有者を知っていますが、そこで知り得た個人の情報をあなたにお教えすることはできません」とのことでした。
 結局のところ、境界の確認くらいのことでは、所有者の不明にはあたらないってことでしょうね。災害等の緊急時、または道路拡幅等による土地買収や収用等、行政主体の事業では、この法改正は円滑に進むのでしょうが、民間の我々が活用できるには、まだまだハードルが高いようです。
 地主さんも納得できないようで、 弁護士会にお願いして照会してもらいましたが、回答は同じでした。全く残念でなりません。!
土地家屋調査士 奥村忠士

カレーを作る(「切り拓く人」と「お膳立てされた環境の人」)

 同じことをやっているはずの2人。片方は人に喜んで協力してもらえるが、もう一方は人を疲弊させて人が離れてゆく。片方はやり切るが、もう一方は最後までやりきれない。それはなぜでしょう。
 私は、よく「カレーを作る」話で例えます。
 子どもの「カレーを作る」は・・・カレーを作ることが決まっています。必要なものが用意されています。作り方は、自分から願い出るまでもなく親切丁寧に教えられて当たり前です(なんなら「あそこで『熱いから気を付けてね』と言ってもらえなかった」と文句すら言います)。手順を教わり、そのとおりにこなすだけ。米のことなど一切視野に入っていなくても、米は別の人が炊いていてくれて、カレーができたらカレーライスが食べられるようになっています。そして「僕カレー作ったよ」⇒「すごいね」となります。
 本来の「カレーを作る」は・・・そもそもカレーを作ることを決めるところからスタートです。必要な材料を考え、そろえます。『米は先に炊き始めよう』『玉ねぎを炒めている間に人参を切ろう』等、段取りを考えながら手を動かします。提示された手順をなぞるわけではないので、もちろん失敗もします。場合によっては、『カレーなんて』という批判への対応だってする必要があります。
 冒頭の話に戻ると、大人の「カレーを作る」はこうであるはずなのに、子どもの「カレーを作る」のまま大人になっている人がいるからではないでしょうか。「お膳立てされて当然」だから「何かをやってくれている人」に気づけず雑に扱い、自分で試行錯誤して解決してきた経験がないから周りの人の些細な失敗や「自分の思った通り」以外が許せない。そして、周りの人が疲弊して離れていき、さらには全体を見渡せないから結局最後までやり切れないのだと考えています。
エール行政書士事務所 行政書士 鈴木亜紀子

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株式会社CPS総研
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