2022年3月15日発行 第236号

News Diet(ニュースを断つ)

 不動産売買の受渡しの立会をするため、多治見市内の銀行に出向きました。この立会では、融資の実行手続きや売買代金が送金されて売主の銀行口座に着金するまでの所要時間の関係で、通常20分から1時間程度の雑談時間が発生します。今回は、売主、買主とも元気のいい会社で、双方の社長さんや常務さんらと楽しい時間を過ごしました。おもしろかったのは、皆さんコロナ太りでダイエットに苦労されているという話でした。
 私は有難いことに太らない体質で、30年以上ほとんど体重に変化はなくダイエットとは無縁です。しかし、カロリー過多ではなく情報過多のせいで、脳が肥満に陥っていることを自覚しています。特にコロナ禍が始まってからは、肥満度が高まりました。
 情報収集については、自分にとって必要な情報を能動的に取っている時間については問題ありません。しかし、テレビ、新聞、ネットなどから、「コロナ」「オミクロン」「ロシア」「ウクライナ」といった真実とは限らない情報が、要求もしていないのに必要以上にガンガン入ってくると、結果として時間の浪費となり、不安や恐怖を煽られているという現実があります。
 それなら、そうした情報を遮断すればよいわけですが、世界から取り残されるような不安から遮断する勇気もなく、情報過多の状態が継続しています。しかし、ロルフ・ドベリ著「News Diet」と出会って光が見えてきました。
 ドベリは、ニュースとは「短くまとめられた世界各地からの情報」のことで、これは有害で無益だから完全に断つべし、反面、本、新聞や雑誌の長文記事、エッセー、特集記事、ドキュメンタリー番組などの一部は有益であると主張します。そして「News Diet」(ニュースを断つこと)の実践により、自己の主張の論拠は明確になり、人生の充実感が増し、時間の余裕ができ、決断の質が上がり、心の平静も深まったと述べています。
 「News Diet」をやって大丈夫かとの不安はあります。また、「そんなこと知らないんですか?」と誰かに笑われるかもしれません。しかし、情報過多を解消して自分の脳を筋肉質に変えるため、まずは素直に「News Diet」をやってみます。
CPS総合法務事務所
所長 加藤健治

クレームに対する適切な対応方法は?(その2)

 今回も,引き続き,「クレーム対応の仕方」についてです。企業の存続を危うくするような重大な事故を防ぐことにもつながる「正しいクレーム対応」とはなんでしょうか。
 正しいクレーム対応は,社会的に妥当性のある対応をすることです。契約社会のルールは法律になっていますので, 法律に当てはめた場合の対応が基準となります。通常のクレームを受けた場合の正しい対応手順は,以下の順序で行われます。
 (1)まず,クレームの内容を顧客から聞き取って,クレームを特定する。
 (2)次に,企業側では,クレームに該当する事実があるか, 原因が何であるか,企業側に責任があるか,といったことを調査する。
 (3)そして,企業側に責任がある場合には,社会的に妥当性のある対応案を顧客に提示する。責任がない場合には責任がない事情の説明をする。
 顧客側から,対応案について別の案が提案されることもあるでしょうが,妥当性のある範囲内で,合意に至ることが多いと思います。
 対応案は,法律にあてはめた場合の責任が基準になります。しかし,必ずしも法律にあてはめた通りである必要はありません。顧客に不愉快な思いをさせたが賠償義務までは無いというような場合に,菓子折を持って行って謝罪することも適切な対応となりえます。
 まずは,法律にあてはめた場合,どのような責任が生じるのかを理解した上で,対応方針を決めなければなりませんので,責任の有無,範囲が不明な場合は,弁護士に相談すべきだと思います。
 通常は「正当なクレーム」であることが多く,顧客から正当なクレームがなされた場合,上記手順で正しく対応されていくべきですが,クレームの中に「不当クレーム」が混じり込んできます。一般的にはこの「不当クレーム」をする方を「クレーマー」とよんでいます。では,「正当なクレーム」と「不当クレーム」の違いは何でしょうか?次回,引続きお話ししたいと思います。
岐阜県多治見市大日町21 大日ビル3号
多治見ききょう法律事務所 弁護士 木下貴子

技能実習生

 先週、友達の社長さんに招待されて、送別会に参加してきました。3年前にベトナム社会主義共和国から外国人技能実習生として働きに来ているギア君が実習を終え、帰国することになったからです。
 この制度は、開発途上国から日本の技能・技術・知識等を習得して、帰国後に母国の経済発展に貢献することを目的としていますが、いわゆる、人手不足による人材の確保と社長さんは本音を漏らしていました。
 この会社の業務は主に、土木の測量が中心で、建物を建築する際に、柱などの位置出しをする測量で、現場はいつも多くの作業員でバタバタです。タラタラ仕事をしているとボロカスに叱られます。日本語もまだわからない中、ましてや建築の業界用語に至ってはわかるはずもありません。元受けの親方には、ここで文章に出来ないような卑猥な言葉の暴力で差別を受けていたことを覚えています。
 そんなギア君は、日本語と測量技術のみならず、今では、ギア君より後に入ってきた日本人労働者に仕事を教える立場になっています。彼は母国に帰って経営者になると言いました。彼は立派な経営者となって母国の発展に貢献することを約束して送別会は終わりました。
土地家屋調査士 奥村忠士

想像力を忘れずに

 東日本大震災から11年の3月11日、市の放送で黙祷を捧げる旨のアナウンスがありました。大人になった今でこそ、「黙祷を捧げる」のですが、子どもの頃の私は、黙祷の時間があっても「目を閉じて黙って下を向くだけ(=恰好だけ)」でした。そのとき私が下を向いて考えていたのは、「大人たちは黙祷も神妙な面持ちで『やらなきゃいけない』から大変だなあ」ということ(扱いにくい子ですね)。子どもの頃は、自分の家族と同じ学校に通う子ども達と先生が「世界のすべて」でした。だから、震災も戦争も遠い世界のことで、そこに生きる人・生きた人になど思いが至らなかったのです。見えているのは「黙祷と呼ばれる時間がある」ということだけ。
 それからたくさんの人と関わって、たくさんの経験をして、「今、ここに見えていること」以外にも、想像力を発揮できるようになりました。私は、 これが「知性」であると捉えています。
 知性を磨くには、様々な人と関わること、様々な体験をすることが重要かと思いますが、それには限りがあります。簡単なのは「知ること」です。今、情報を得ることは簡単です。しかし、そこから想像力を働かせることができなくては、それは「知性」ではありません。しかも、触れられる情報が「自分が考えていること以外はすべて間違い・悪」というものであれば、なおさら想像力を働かせることが必要です。 最近多い「手っ取り早いインプット(まとめられた記事)」でも同様ですね。
 疲れてしまって新聞や本やネットから距離を置いてしまうときがあるのですが、「想像力が貧弱になる」気がして、最近はまたインプットの量を意識的に増やしました。弊所ホームページのブログやインスタグラムで紹介していこうと思っています。ただし、知識を仕入れるだけではなく、「想像力」を忘れずに。
エール行政書士事務所 行政書士 鈴木亜紀子

発行者
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東濃相続サポートセンター
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